DMO/DMC/地域商社のベストな組織体制は?
地域における観光振興の重要な組織として「DMO」や「DMC」といった言葉が定着し始める中で、現在では100を超える団体が登録されてます。全国の自治体の数が約1750ですから、まずまずといったところなのでしょうか?
自治体主導体制から第三セクターでもない民間活用=DMO/DMCという時代の転換的な組織ですから、とても期待されています。しかし、DMO、DMCが叫ばれるようになって数年、期待された実績や成果を上げたところはあるのか?答えはいまのところ「ノー」と言わざるえません。もちろん時間がかかるのもそうなのですが、組織体制としてのほころびや、事業展開としての困難さが浮き彫りになってきています。
そこで、ざっくりですが、これまで30くらいの地域で立ち上げのお手伝いをさせていただいた経験を元に、DMC/DMO/地域商社の課題や、理想的な運営パターンについてまとめてみたいと思います。
そもそも観光協会とDMOの違いは何か?
答えは特に違いはありません。日本各地には元々観光協会と呼ばれる組織が存在しています。駅前に立地し案内所を兼ねて様々な業務を行っています。その観光協会を母体にDMOとして認定法人化し、地域での展開を実施しているところは非常に多いように思います。背景としては、自治体が負担(人件費や地代など)して協会を運営するよりも、自立してもらうことを前提に、民間主導で観光振興を行ってもらう方が、あらゆる面で都合が良いというのが本音なんだと思います。
「観光協会の運営委託で、1億円の税金を投下するよりも、最初は金銭的に補助するけど、費用負担なく今までお願いしてた観光協会の機能を実施してくれるようになってほしい」ということです。
では実際はどうなっている?
答えはDMOやDMC、地域商社といった名前は普及するようになってるものの、前述の通り「経営として」うまくいっている例は残念ながらありません。理由は大きく二つだと考えています。
①プロダクトアウト型経営
「いい観光地があるからきっと来てくれるはずだ」「こだわりを持ったいい商品だから売れるはずだ」という押し売りのような誤った判断の初歩的な問題もあるのですが、販売先の開拓に関しての営業計画が組み込まれていないことが多いのが現状です。決起大会をした飲みの席で「そういえばどうやって売るんですか?」という会話は本当によくあります。
②プロダクトアウト型人材
ほとんどの場合、組織を構築するメンバーは、地域をこよなく愛し、とても良く理解した方、そしてDMOだからと観光系の出身の方を組織に入れているパターンが多いです。
もちろん上記の方々も必要なのですが、①営業面②客観性という2点で劣ってしまうため、経営としてうまくいかないパターンが多いのが現状です。
では理想的な運営とはどういう状態なのか?
3人のコアメンバーであれば、
経営責任者:外部の人間 1名
営業責任者:外部の人間 1名
地元の人間 1名
これくらいでいいと思います。 ただ、外部の方もコンサルティング的な立ち位置での関わりでなく、あくまで現地に滞在してもらい経営にどっぷりと携わります。東京勤務であった方なら当然移住するということになりますね。
私はこれまで30を超える自治体様から、DMO/DMC構築に関してのご依頼やご提案をしておりますので、もちろん、地域によって様々な問題はあるのですが、基本的には外部目線で営業計画をベースに組織や事業構築をすることが重要だと考えています。